2015/06/29

アラブキャメルの北と南


ひとこぶラクダは“イラーブ”と言い、「アラブとしての純血を保つもの」とい意味を持っています。

イスラム期以降のアラビア半島においては、ラクダの産地として名高かったのは南東部のオマーン、及び中央のナジュド高原でした。
オマーン産のラクダは“オマーニッャ”と呼ばれ、砂地に適し、しかも姿、形が優美なものとして知られています。

さらに、オーマーンの一地域パティーン産のラクダは“バーティニーヤ”と呼ばれ、背が高く、優雅であって、支配者間の贈答用と珍重され王侯首長のパレード用とされていました。

一方ナジュド高原のラクダは頑丈で、夏場に強い体質を持つ“アルスィッヤ”“アティッヤ”“フッラ”などの名で知られています。“フッラ”は、足も強く岩場や石の多い地域にも向いており、また渇きに強く夏場にも向いているため、実用に最適とされていました。

さらに古い時代には、半島南西部イエメン、半島北東部メソポタミアもラクダの名産地でした。
イエメン種はオマーン種と同様、半島の南部に生息して環境適応したためか、北方のラクダ種に比較して全体的に小柄です。

小型であることで、同時に動きが軽快になり、機敏さ、快速に乗るのに適したラクダという評価を得ていました。
ゆえに、オマーン種、イエメン種が乗用ラクダとして訓練されていたのです。

さらに、南方のアラブ種は北方種より体毛が少なく、毛の伸びが見られません。
(首筋、アゴ、肩、コブの周辺、脚の上部などに北方種は冬期には相当毛を深く垂らし、それが遊牧民のテントや衣服、もの入れの材として役立っているほどです。)

南方種のラクダは体毛が少ない為、住生活の差異となって表れます。
半島南部の遊牧民はテントを張らず、木や岩を利用した僅かな毛地製の半テントです。

これらは、ラクダの毛の利用ができなかったことによります。
北方系のラクダは赤毛に近く、黒毛といってよいものまで混在しています。
南方系は白毛か黄色毛のみになり、北方種のものよりずっと淡い色になります。

日本人は中東やアラブ等のイスラム圏をひとくくりで見てしまいがちですが、ラクダの特性も地域によってこんなにも違いがあるのことに驚きますね。
やはりアラビア半島は広い。この広い地域のそれぞれの気候に適応したラクダは本当にたくましいと思います。

アラブ圏の文化もわかっておらず、ラクダについても知らないことが多すぎる。とつくづく思いました。